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小さな共感を育てたい 7.

令和3年度 あわ文化創造支援費補助金 (あわ文化継承発展事業)の事業報告書を提出した。

様式第11号の項目4及び5についてそのまま掲載する。

怒りを持って書いたが、あくまでも自分の関わっている世界が正しい方向へと向かうことへの願いであって、現在の自分の感情とは(努めて)分けて考えることが必要だと認識している。

 

行政に提出する書類に「ドブに捨てた」はないだろうけど、、

他の言葉も考えたが、少しでも職員の方の記憶、心に残るようにあえてそのままにした。

もちろん、これで県の姿勢が変わるなんて少しも思っていない。大事なことは勉強会を継続することだ。

 

  

 

 

4 実施事業についての反省点

  

 

第一回目の講師は、キヤリコ合同会社の小林史恵 氏に依頼した。

本事業の主催側の一人である東尾のビジネスパートナーという関係で、以前にも四国大学で講演を依頼した経緯があったこと、徳島にご親戚があるなど縁があり信頼できる人物として推薦した。

 

ただ、第一回目が海外事例(インド)の紹介であったことで、この勉強会の趣旨が伝わりにくくなった印象は否めない。また講義内容は次元が高く学生にはやや難しかった。それでも参加者一人一人のこの勉強会に対する真剣な姿勢が緊張感のある会場の雰囲気を作ってくれた。小林氏は気心の知れた方ではあるが、資料を準備していただくこと、県外からお越しいただくことを加味した謝礼金を準備すべきであった。どの職業においてもそうだが、現役の方に講義を依頼するということは「ビジネスの種明かし」的な側面がある。事業者が切り拓いてきた領域や、それに賭けられた膨大な時間と熱量に対し敬意を持ってオファーしなくてはならない。徳島県の印象や流通の現場に立つ方とのパイプを太くするという意味合いにおいても、県外から招聘する講師の謝礼金については再検討したい。だが同時に額面の提示だけではないということを実感することもできた。この場を共にした方々が持ち寄り、差し出してくれた気持ちや真剣な想いに支えられたことにより、小さな成功体験を作ることができたことに疑いの余地はない。心から感謝申し上げたい。

 

また、収録終了後1時間ほどではあるが、講師と参加者を交え言葉を交わす時間をとることができた。藍染研究会だけでなく、徳島という土地との関係作りという観点からも意味があったと考えている。


 

・講師のブランドである CALCO 製品を一部展示したことは良かった。

・アーカイブ動画でははっきと聞こえるが、会場では講師の声が聞き取りにくいとの意見があった。

・会場内の冷蔵庫のコンプレッサー音が少し気になった。

・主催者側の関係者には報酬はなく今後も予定しない。

・会場に告知ポスターや案内の掲載を検討すること。

・次回は地元の藍関係者に依頼することも検討したい。(地元のものづくりについて考える)


 


5 今後の課題及び対策


本事業については、まだ藍染研究会会員、県庁職員の関心が高いとは言えない。藍に関わる者が勉強会に参加したいと感じるような魅力的な内容を企画する必要がある。第二回目の勉強会は、2月18日に藍染研究会の活動費のみを用い収録したが、継続のための資金をどのようにして捻出するかが課題となっている。

 

令和2年度に実施された「阿波藍計測機器制作業務」では、県が某研究者と随意契約を結んでいるが、その成果物として、基盤とコードのようなものだけが納品され放置されている。何かを計測することなどできないうえ、徳島の事業者に対し案内や報告もなければ、協力した藍師に材料代や手間代さえ支払われていない。このように県主導の事業は県庁職員のための教育機会や事業者との協議もなく、藍について本質的な理解のないまま推し進められている。これらは別事業の情報公開請求に付帯して明らかになってきたことである。部署の看板こそ掛け替えられたが、文化・未来創造課は閉鎖的で隠蔽体質であると言わざるえない。


問題はこの事実に対し、委託先の研究者や事業の検収者が何の痛みも感じていないことだ。

このドブに捨てた66万円の予算があれば、私たちなら3度の勉強会を実施し、併せて3つの動画コンテンツを制作することができた。一部の職員の誤った見識に偏り予算を消化することや、見栄えの良い報告書のために藍を使ってやろうとする行為は事業者との関係を壊す。この麻痺した感覚にこそ、私たちは強い疑念を抱き怒りを感じている。そして2年前から未来創生文化部部長を含めた話し合いを要請しているが実現しておらず、部長という立場の方から対話を拒む理由について説明はない。

 

しかしながら、今回ある職員の方から勉強会について熱意ある感想をいただいた。(様式14号④に添付)またその方は当日休暇を取ってまで参加してくれている。郷土や手仕事に関心を持ち、志のある職員の方と共に阿波藍の本質的価値について考え、同じ目線でその場を共有できることを心強く感じた。また立場や所属を超え、その価値について議論し信頼関係を構築する場づくりでもあることを確認できたことは、今後に向けた明るい材料として考えている。


阿波藍だけでなく「伝統」や「文化」と呼ばれるものは、全てが先人の積み重ねの上にある。敬意を持って向きあうべきであり、単に「業務」として割り切り関わろうとする姿勢などありえない。その価値を正しく伝えようとするならば、阿波藍を自分ごと、自分の仕事として捉えられる方こそを関係各課に配置してほしい。


また藍産業振興協会に加え、新たに設立される一般社団法人など、藍に関わろうとする関係団体と相互理解を深めてゆくことも必要であり、県庁職員にはその調整役こそを期待している。 県庁職員によるこれまで通りの安易な企画、何の役にも立たず放置された66万円の成果物、そして県に都合の良い一般社団法人を作り予算を消化しようとするロジックは、先人が積み重ねてきた仕事を消化し、変質させてゆくのみで、内側から本質を育てたいと考える私たちの価値観とはかけ離れている。


徳島県藍染研究会は「阿波藍の振興と灰汁建ての技術継承」、本事業は「藍を愛する人を育てる」ことを、それぞれ明確な目的としており、藍を手段として助成金を得ること、またその消化を目的としていない。

 

目的と手段の倒錯はあらゆる仕事で起こりうる。そのバランスを失わない唯一の方法は、わたしたち一人一人が、自分の仕事の目的が何だったのかを日々自問することにある。

 

今この報告書を読んでいただいているあなた自身が、県の文化行政の現状や在り方について検証すること、藍に関わる目的とその責任を明確にすることを切に希望している。


「正しいの正しいだよ」とある参加者の方が背中を押してくれた。心強く、勇気をもらった気がした。

来年度も藍の勉強会「繋ぐを考える」を継続します。それはもう必ず。


機会を作って伝えてゆかないと変わる可能性も無くなるから。

ただ「ドブに捨てた」に代わる美しく伝わる言葉、何かないですかね?

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