enno 大橋力さんの「座編みの椅子」受注会 無事に終了しました。
予想以上のご注文をいただくことができ、大変嬉しく感じております。
昨年、喫茶に導入させてもらった椅子と並べると、栗材の経年変化を感じることができました。
飴色へと変化してく様は、この店と共に重ねてきた時間そのもので、
業務に耐える耐久性も証明してくれました。
かつては潤沢に使用することができた、遠い海の向こうから輸入された立派な木材は、
年々幅が狭くなり、価格は上昇している。 木工業界の隆盛を知らない僕らの世代以降は、
材の量も質も価格も「昔はよかった」と懐かしむことすらできない。
今後、材の確保は一段と難しくなっていくだろう。
大橋さんの椅子は、地元・兵庫で産出される栗材を、工房の軒先で数年乾燥させてから使う。
先細りするであろうこれまでの環境を追い求めるのではなく、
生活圏から材料を調達する "大橋モデル" とも言うべき、循環するモノづくりの現場を創り出した。
この背景への共感は、ある感度を持つ人を巻き込みながら広がる予感がある。
背景から少し離れて椅子を見てみる。
もちろん安定した形だ。 ただこの椅子が「人の手によって作り出されたもの」ということは誰の目にも明らか。 その気配がどこからくるのか、どのように認識するのかを、自分の目に問いかけてみれば、
木を手で削っていること「鉋仕上げ」という技術的な側面が浮かび上がる。
(その先に見えてくる奥行はさらに深いのだけれど)
大橋さんの椅子は鉋で仕上げる。
サンドペーパーを使用しないことはもちろん、木材用の仕上げオイルも塗らない。
地元の材に生木からアプローチすることで、材の持つ力に確信を見た「潔さ」がある。
もしあなたが、芹澤や棟方の作品をみたことがあるなら、
その心の動きがこの椅子と同列に位置していないか、反芻することをおすすめしたい。
座編みは「骨盤が立つように」座れることが念頭に置かれた大橋さんのオリジナル。
ペーパーコードを広げ、撚り直しながら編むことで、適度な柔らかさもある。
そして、お客様が座る様子を見ていて気づいたことは、
この椅子自体が、彫刻のように美しいだけではなく、 人が座っている状態「人が椅子に身体を預けている姿」こそが美しいということだ。
人が身体を預けること、即ち使うことによって成立する美。
日々使うほど馴染む、生活に寄り添う道具とは、このようなものではないだろうか。
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景色のような椅子だと僕は感じた。
座れば里山の畦に腰をおろしているような気持ちになる。
椅子の向こうに暮らしをつくる、その向こうに景色をつくる。
フォルムだけを追い求めるのではなく、 風土と歩む美しさのある、自然の循環を意識した仕事です。
スツール size / sh435 d300 375 36.000yen(税込)
現状制作が混み合っているため、お時間はいただくことになるかと思いますが、
当店にて使用している、食事椅子、小椅子、スツールはいつでもご注文を賜ります。
(座面の高さは、15mm刻みで調整できます)
*価格は今後変更になる可能性がありますので、お問い合わせ下さい。
*ご注文いただいたお客様には追って詳しい納期など、お知らせ致します。
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