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瀬戸本業窯展

  • 執筆者の写真: 東尾 厚志
    東尾 厚志
  • 2月5日
  • 読了時間: 3分

更新日:2月19日

瀬戸本業窯展 

2025年3月15日(土)~26日(水)

 

愛知県瀬戸市の「瀬戸本業窯」は、江戸後期より250年の歴史がある窯元で、現在でも手仕事で暮しの器を作り続けている。手慣れた調子で描かれた模様は生き生きとして、盛りつければ料理は不思議と美しく収まる。

その存在感と包容力でどんな台所にも求められてきた。

 

初めて瀬戸を訪れたとき、一度に何万個という器を生み出した巨大な登り窯や、器の焼成に使う窯道具を積み上げた「窯垣」に圧倒された。窯業に関わる職人の息吹に触れ、力強く生き抜いた先人の気配を強く感じ、何代にも渡り重ねられてきたこの仕事を伝えたいと僕は思った。

 

特別に復刻をお願いした石皿をはじめ、本筋の仕事を追い続け”瀬戸の風土から生まれた”というべき器たち、

作り続けられてきた不朽の名作が一同に並びます。この機会に是非ご来店下さい。

 



3月15日(土) 瀬戸本業窯/水野雄介 八代後継 水野半次郎 さん在店






 

"ゆどの初め 無事"


この「ゆどの」は、石皿としては非常にめずらしい柄で、若女房がいかにもゆったりと湯に浸かる尊い姿が描かれている。こういった絵柄の場合は、何かめでたい文句を添えるのが習わしで "ゆどの初め 無事"と書かれている。

 

写真家の土門 拳 氏のコレクションである古い石皿を見本として、今回の催事に併せて特別に準備していただいた一枚です。長年温めていた企画だったとはいえ、現在はない図案をあらたに描くのは大変だったはずです。先ずは快諾いただいた瀬戸本業窯の水野雄介さんに感謝申し上げます。また「これは土門拳リスペクトで撮るよ!」と撮影アイデア盛り盛りで来てくれた生津勝隆さん、DMデザインをお引き受けいただいた Clover Studio 坪井秀樹さん、本当にありがとうございます。そしてこの石皿が紹介されていた古い雑誌を保存しておいてくれた四国大学/藍の家 有内則子先生にも感謝申し上げます。

 

その古い雑誌とは、株式会社平凡社より発刊の「太陽」127号(1973年12月号)で、当時の連載記事「骨董夜話」にて土門氏が紹介していたのがこの「ゆどの」でした。その存在を知ったことは大きな驚きであったけど、写真家の方が臨場感溢れる文章を残していることに嬉しい驚きがあって、僕はこの日から"土門ファン"になってしまいました。どのような仕事を生業としていても「言語化」することは伝えるために大事な能力で、特に販売の現場にいる自分はもっと学ぶべきこと、見ておくべき世界がたくさんあると感じました。

 



 


作り続けたことで生まれた、日本の器のオリジナルともいうべき瀬戸の器たち。

ついに遠近の棚に並ぶ日がやってきました。時間はかかったけど、その分嬉しさもひとしおです。

 

催事初日には瀬戸本業窯の器、約500点が並ぶ予定です。

瀬戸本業窯/水野雄介 八代後継 水野半次郎 さんも在店されますので、この機会に是非ご来店下さい。

 

 



「古シ 泉ハ 新シ 水ハ」

 

思想家の柳宗悦は瀬戸本業窯にこう書かれた書を残した。

たとえ古い泉であっても常に湧き続け新しい水を満たす、という意味であり、

これは変わらない繰り返しの仕事を強く肯定する、作り手へのエールなのだと思う。

 

 



写真/生津勝隆


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