藍の勉強会のこと

徳島県藍染研究会主催で、藍の勉強会を開催する運びとなりました。

第一回目の勉強会を講師にキヤリコ:小林史恵さんを講師にお迎えし、11月5日(金)に四国大学にて開催いたします。先ず、研究会会員、行政職員を対象としていることと、コロナ禍に企画された事業であるため、一般の方をオープンに募集することができませんでしたが、講義の様子は後日配信しますので、多くの方に見ていただければと考えております。(配信予定については追ってお知らせ致します)

 

藍の勉強会は「繫ぐを考える」と題し、藍やものづくりに関わる方を軸としつつ、多様な職業や立場の方を講師として迎え、みなさんと気づきを共有することで、阿波藍や灰汁建て、染色技術の技術継承について、様々な立場(職業)の方と一緒に考えてゆければと考えております。また、この事業は、四国大学 藍の家の設立30周年の記念事業としても連動して実施しますので、学生も交え起業して働く意味や社会的包摂、持続可能なものづくりについても、共に考える機会にしたいと思います。

 

先人が残したものを消化するだけでなく、「継続という形式」だけに縛られるのでもなく、藍を題材とした勉強会をきっかけとして、この土地の未来に気づき、後に続く人たちにとっての「道標」となる仕事が生まれることを願っています。

 

 

 

 

目的

 

1977年に設立され、四国大学に事務局を置く徳島県藍染研究会は、阿波藍の振興と灰汁建ての技術継承を目的としている。現在も約30名が所属しており、これまで多くの徳島県主催事業に協力してきた。本県におい て「阿波藍の製造」と「灰汁建て」が身近にあることは、他県には無い無二の個性であるが、染色においては、本会の会員同士が、情報交換をしつつ支え合ってきた結果であるとも考えられる。近年、藍を「話題作りの手段」として用いる人は増えたが、その本質を受け継いでゆく人材はまだ少ない。小売の現場では消費 者から「どこに売っているかわからない」「欲しいものがない」といった声が変わらず聞かれることから も、その実態は理解されにくく、評価されるべき最終製品も流通していないことが窺える。阿波藍を生かし、どのような最終製品や作品を作るべきかは染色に関わる者にとって長年の課題となっている。同時に、この本県の個性を「どのように伝えるべきか」を立場の違いを超え議論する場としても機能させたい。  

  

①技術を含めた本質的な価値を受け継ぐ次世代を育てる ②藍に関わる行政職員の教育機会 ③作り手のレベルアップ及び、内外で評価される作品制作のサポート  

 

この3つの柱をテーマとして、本事業予算においては年度内に2度の勉強会を予定する。 既にFacebook上で有志のグループを形成しており、研究会会員と県庁職員が参画、意見交換がスタートしている。

今後は一般の方もグループに公募し勉強会の在り方について意見交換していく。

また設立30周年を迎える四国大学 藍の家の記念事業とも連動し、学生にもその姿勢を伝える。

 

 

 

特徴

 

1.あわ文化を発展させる観点から考慮した点

・藍に関わる県市町村担当部署の意識改革を促す機会

次世代への技術や歴史の継承を目的とするが、徳島の藍に関わる者が立場や所属を超え、その価値について 議論し、信頼関係を構築する場づくりでもある。行政の都合だけで企画される「催事」ではなく、事業完了後も継続することを前提とした「藍を愛する人を育てる」事業であり、県民文化課、観光課、もうかるブランド課をはじめ、藍に関わる市町村担当部署の意識改革を促す機会とする。

  行政はあくまでも調整役であって、行政自体に文化を発展させる力はない。

  徳島の文化を発展させたいのであれば、私たち事業者が行政の仕事を手伝うのではなく、行政が私たちの仕事をサポートすることが本来あるべき姿である。この藍の勉強会は「徳島の藍を伝えるという仕事」の主体を、私たち自身の手に取り戻す運動でもある。  

 

 

 

 

2. 地域資源の活用や地域文化振興について考慮した点

・技術や知識についての緩やかなオープンシェア

  徳島の藍関係者は、40代以下の担い手が少なく、先人の技術や歴史を若い世代の担い手に継承しているとは 言い難い。藍に関する伝統技術の公開は進んできたものの、染色に関わる者同志での情報交換の場が少ない ことは本県において大きな損失である。文化としての藍の発展、徳島における技術全体のレベルアップには 生産者同士の情報交換は欠かせないものであり、先人から受け継いできた藍に関する技術や知識についての 「緩やかなオープンシェア」について考える機会としたい。一方で、長年の経験により積み上げてきた独自の技術やノウハウを守りたいと考える関係者の考えも尊重すべきであり、アーカイブ動画の取り扱いには講師との高度な信頼関係が求めらる。

 

 

 

3.事業の新規性や新たに取り入れた手法・工夫

・YouTube Live と連結させたライブ配信

講義内容は、一般社団法人 神山アーカイブレコードの協力により、web会議ツールZOOMで配信希望者に共 有されるが、より多くの方に届けるため、YouTubeと連結させたディレイストリーム配信とし、当日参加できない場合も視聴できる。ただ、たとえその一端であっても、長い時間をかけ構築したノウハウを外部に知らせることは、講師の理解を得ることが必須であり、慎重に進める必要がある。

またこの手法は、一般社団法人 神山つなぐ公社が実施している町民への報告会を参考モデルとしている。

 

 

 

 

 

4.事業実施の効果

  ・藍を愛する人を育てる

  本県は阿波藍の生産地として認知されてきたが、染色においても他の地域では、化学建てによる製品づくりがほとんどであるため「灰汁建て」が主流となっていることは本県の個性だと言える。芸術大学の染色やテキスタイルの学科においても「灰汁建て」について学べる場所はなく、近年では地域おこし協力隊の制度を使って移住した若者もいる。

 

この「藍の勉強会」を機に「徳島で学びたい」という若者が現れ、受け入れる体制が改善されれば、技術の継承だけでなく移住促進や地域のブランディングとしても有効だと考えられ る。つまり「阿波藍」同様に「灰汁建て」もまた、徳島で育まれてきた地域の宝である。だが、この染料や染色方法に優位性があるわけではなく、他の産地を否定することに繋がるようなPRは厳に慎むべきで、安易に観光や経済と結びつけることもできない。

  また県庁職員が、この技術の一端を取り出し、安易に外部に売り渡すような行為は絶対に許されない。

 

二度とこのようなことが起きない為にも、県庁をはじめとする各市町村が今後も藍の振興に関わるとするな ら、真摯に現場の声に耳を傾け、真剣に藍について学び、議論する必要があることには疑いの余地がない。だが、これまでは行政職員のための教育機会や事業者との協議もなく、藍について本質的な理解のないまま様々な事業が行政主導で推し進められてきた。県庁及びほとんどの行政職員が「興味なくわからない故に」 一部の職員の意識に偏り予算を消化していることに、私たちは強い疑念を持っている。

 

今回の予算で実現できる講義は2度だけであり、この事業の実施効果を図ることは難しいが、徳島県藍染研 究会においてはこの勉強会を継続して実施する方向であり、行政の藍に関わる関係部署の担当者が参画することで、藍に対するお互いの立場に理解を深め、共に学び、信頼関係を再構築することが期待される。

  藍や染色の関係者はもちろん、ものづくりやデザインに関わる識者を講師として招くことは、単に作り手の レベルアップに繋がるだけでなく、裾野の広い「藍」というテーマが内包する知見や見立て「気づき」を参加者全員で分かちあう機会とし、それぞれの専門分野へと持ち帰り生かしてほしい。お互いを利用し予算を消化する「上辺だけの関係や組織」を作るのではなく「藍を愛する人を育てる」ことこそが、本事業「藍の勉強会」の効果であり本質である。

 

 

 

 

 

協力

  ・四国大学

・一般社団法人 神山アーカイブレコード

 

・令和3年度あわ文化創造支援費補助金(140.000円)