阿波藍灰汁建ての会/建てるの意味を考える
7月18日(木)
|遠近
藍を「建てる」には色を出す技術の他にも、未来へと託された意味があるはずだ。 いま、阿波藍で染める意味とは何か、灰汁を使う理由は何か。 この染料でどのような製品を生み出し、どのように価値を伝えてゆくべきだろう?
日時・場所
2024年7月18日 19:00 – 23:00
遠近, 日本、〒770-8040 徳島県徳島市上八万町樋口266−1
イベントについて
阿波藍灰汁建ての会/建てるの意味を考える
会期:2024年7月27日(土)〜8月4日(日)
徳島では「阿波藍」と灰汁を使う「阿波藍灰汁建て」という昔ながらの染料液を作る方法が主流となって受け継がれている。
藍は水に溶けないため、灰汁によってアルカリ性を保ち発酵菌の活動で藍を還元させ溶かす方法である。
ただし西洋から発酵という概念が伝わるのは明治期に入ってからで、
江戸時代以前の職人にはこれが「菌の働きによる現象」という認識はなかった。
神に祈り研ぎ澄まされた感覚で色の出る気配を察し、自然を敬い眼には映らないものを見ていたであろう先人たちは、
藍の染料をつくることに「建てる」という言葉を充てた。
「阿波藍」とは徳島で作られる蒅のことで、蒅とは蓼科の一年草である藍を原料とする染料である。
吉野川流域を中心に育まれた阿波藍は明治中期に生産のピークを迎えるが、
インド藍の輸入や化学染料の登場により衰退の一途を辿る。
思想家の柳宗悦は自著「茶と美」の中で天然染料についてこのように言及している。
"化学が与える色は純粋だと云う。だがそれは単一な浅い性質の裏書とも云える。
是に比べると自然の色は遥かに渋い。是は性質が複雑で玄妙で深さがある証拠と考えていい。
純粋さこそ不自然で、複雑なものこそ自然だと云える"
蒅に含まれる色素が5%であるとすれば、あとの95%は不純物である。
この純粋ではない複雑なものを「渋い」と評価した柳の眼差しは、
経済的な価値だけに流されない、文化的かつ人間的な感覚を呼び覚ます手がかりとなるだろう。
藍を「建てる」には色を出す技術の他にも、未来へと託された意味があるはずだ。
いま、阿波藍で染める意味とは何か、灰汁を使う理由は何か。
この染料でどのような製品を生み出し、どのように価値を伝えてゆくべきだろう?
目には映らない何か、受け継がれてきた仕事を辿る小さな販売会をはじめます。
先ず阿波藍灰汁建てで染められた「手ぬぐい」「暖簾」が並びますので、
徳島で生まれる色に触れ「建てる」の意味を一緒に考えてもらえたら幸いです。