Instagram用の写真を撮ろうとしたとき、陽が差し込んできた。
「ナインかイスファハンか、どちらかはっきりと言い切れないけれど、とてもまとまりがいい絨毯」だとラマザンが教えてくれた。「まとまり」訳された日本語の意味は柄と大きさのバランスということだと思う。
ナイン、イスファハンというのはイランの地名(日本でいうところの県とか藩)のことで、これがナインならトゥディシクと呼ばれる最も細かい(糸が細い)ものに該当するのだという。イスファハンには縁に赤い糸を使うものはあまりないというデザインの傾向もあるようだ。こんな話を聞きながら、100年程前にこの絨毯を作った人の住む、イランの山間部にある村のことを精一杯想像してみる。
めぐる、の取材をしていて感じたことでもあるけど、徳島のことでも100年前のことは本当にわからないし、
ましてや遥か遠くにあるイランの村のことはもっとわからない。
それでも手仕事には気配がある。
絨毯には結ぶ糸のひとつひとつに想いがある。
仕上がるまでにどのくらいの時間をかけたか、その喜びはどのようなものであったか、そして作り手の願いは何であったかということを。一緒に想像してもらえたら嬉しいです。
この一枚が、多くの人の手を介して海を渡り、今ここにあるという奇跡に感謝します。
ギャッベ展は、10月24日(日)最終日です。
皆様のご来店をお待ちしております。
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