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暮しの中の藍布


暮しの中の藍布 四国大学「藍の家」所蔵品展

 

四国大学「藍の家」に所蔵されている、全国各地から蒐集した古い藍布。その中から約60点を展示します。

これらの布は江戸時代から戦前のもので、作品ではなく実際に使われていた生活布であり暮しぶりそのものです。

限られた素材や道具を用い工夫を凝らしてつくり、何度も修繕しながら使い続ける。

 

人々が懸命に生き抜いた痕跡を辿り、布が如何に大切であったのかを知ることで、

藍で染めることの意味、本当の豊かさや美しさとは何かを考えたい。 そしてこの古布たちを受け継ぎ、未来へと続く役割を持たせる機会となれば幸いです。


・開催場所

 徳島県立21世紀館1F 多目的活動室(徳島県立文化の森 総合公園内/徳島市八万町向寺山)

 

・開催日時  令和5年8月25日(金)~27日(日)10:00~17:00

  

・作品解説 26日(土)13:00~ 四国大学名誉教授 野田良子/事前申込不要


・基調講演 27日(日)13:00~ 明治大学准教授 鞍田崇/事前申込制     

 定員30名 申し込み締切:8月20日(日)/満席定員となりました。

 


・入場無料

・主催・問い合わせ先

 主催:四国大学 学際融合研究所

 電話:088-665-1300(代表)


・助成 徳島県 とくしま文化・未来創造支援


 


四国大学 藍の家

1991年(平成3年)竣工。1979年(昭和54年)より「藍」を教育・研究に導入し、藍染技術、地域の伝統文化の発展と継承を目的に多くの取り組みを行っている。

学生のために野田良子名誉教授が蒐集した藍布たちは染色技術の高さや図案の美しさ、当時の生活文化を伝える教材として生き生きと輝いている。



✳︎鞍田崇さんの基調講演は、満席定員となりました。お申し込みありがとうございます。

 

 

 

 

昨年11月に発刊した図録「藍の家」に掲載されたコレクションから、約60点ほどを選び展示する機会をつくります。

図録制作と同様に今回の展示の計画・企画から運営についてお手伝いをさせていただいてます。

先日、会場での「仮設営」に挑みました。

会場は県施設であり空間にギャラリーのような雰囲気はありませんし、所蔵品は実際に使われてきた布であって作品ではありませんから、過度な演出はせず教育機関らしい展示にしたいと考えてきました。

 

 


まだあんまり見せられませんが・・・笑

実際に飾るとどの蒐集品からも「もののチカラ」を感じ本番が楽しみになりました。

60点以上飾れると思ってたんですが、ちょうど60点くらいになりそうです。

 

26日(土)は、このコレクションを蒐集した四国大学名誉教授 野田良子氏の展示会説、27日(日)展示最終日には、明治大学准教授 鞍田崇氏の基調講演を予定しています。

 

徳島新聞に広告も掲載されるので、鞍田さんの基調講演は早めにお申し込みください。

僕から「あのお話を是非!」というリクエストをしてあります。お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 


 


今回の展示は全てが四国大学の蒐集品であり、作品として作ったものではなく実際に使われていたものです。

徳島県からの助成は受けていますが、これまで県が主導して開催してきた催事とは全く違うものです。

 

 

 

 


 

 

 

 



野田良子名誉教授が藍を大学教育に取り入れたことで「藍の家」は生まれました。当時、大学がこの施設を作ったのは関係者の誰もが、そのカリキュラムやその教育姿勢に絶対的な価値があると感じたからではないでしょうか。

設立から31年が経った現在では、野田氏の元で学んだ有内則子准教授が、施設だけでなく地元の関係までも純度高く引き継ぎ指導にあたっています。

 

藍を育て、藍建てを学ぶ。(すくも作りは藍師さんのところで実習があります)

すくも(阿波藍)と灰汁を使った染料液作る方法を大学で学べるのは四国大学だけです。

 

 

 




ホワイトボードには、藍を仕込んでからの染料液の状態が記録されていきます。

うまくいけば一週間程で染められる状態になるのですが、学生たちは毎日その様子を観察します。化学的な根拠に基づいたデータと自分の五感で感じる部分、どちらも詳細に記録しレポートにまとめます。

 

 


このような「藍の家」の活動を最も評価していたのは、野田氏と親交があった京都十二段屋の西垣光温氏だと思います。棟方志功のコレクターとしても知られ、柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司、芹沢銈介、上田恒二、吉田璋也・・・民藝運動に大きく関わった人物と親交があった方。藍の家にふらりと現れては学生に「お嬢様方は〜」と語りかけていたと聞きます。今回展示するコレクションの中には西垣氏との縁により、藍の家が安住の地となった藍布もたくさんありますし、藍の家の食器棚には同じような縁で野田先生が買い求めた器も残っています。

 

僕は気がつけば徳島に残る民藝関係者の足跡に導かれるように藍の家に流れ着いていました。

そして西垣氏と同じように「藍の家に価値がある」と強く感じています。

 

自分が店を通じて作ってきた経験や関係をこの展示に投入する理由は「何かを返したい」と考えているからです。

3年間をかけて図録を制作する機会をいただいたことで、この布たちから多くのことを学びました。この経験がなければ繊維のことや染色のことについて深く知ろうとすることはなかったし、連載Made in Local.の内容は大きく変わっていたでしょう。

 

現代ではファストファッションの隆盛に代表されるように、日々の生活の中での衣服や繊維の重要性はガラリと変わりました。藍の家を訪れる学生や来客に先ず伝えなければならないのは、これらが作品と作られたものではなく、日々の生活で実際に使われたもので、その多くが自給品であるということです。ほとんどの方が驚かれますが、このことが想像できないほど、私たちの生活環境は大きく変化しています。

 

全ての所蔵品は学生たちに「何かを感じて欲しい」と願いを込め蒐集されもので「人々が懸命に生き抜いた痕跡」があります。布そのものだけでなく心得や思想のようなものも含まれていて、今後の人生を生き抜くための手がかりとなるものです。どのように受け取るかは来場者に委ねられますが、僕自身はこのコレクションから学んだことを、お店を営むことで実感する連続でしたから、その体験の一端も伝えられたらと考えています。

 

だから、このブログを読んでいただいている皆さんには、是非来て欲しいと思っています。

展示のある週はお店はお休みする予定です。ご迷惑をおかけ致しますが、よろしくお願いします。

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